思わず呼び留めてしまった。



「?」

「あ、いや、えっと……」



男の子はちゃんと立ち止まってくれたのに、口ごもってしまう。



これこそ本当に自分勝手だ。


もう話すことなんかない。

お礼も伝えられた。


……でも、まだ、もう少しだけ
話していたい、なんて。



早く。

早く何か言わないと。


もっと迷惑かけちゃう。




「……薫」


「なに」


「悪い。先にたまり場行ってて」


「ええ〜?」


「俺もすぐ行くから」




呆れ気味な長身な男の子と別れ、昨日の男の子が一人でこちらに戻ってきた。


驚きと戸惑いでさらに舌が回らなくなる。




「ど、どうして……」


「まだ話したそうにしてたから。……違いました?」


「ち、ちがくないです!」


「ははっ、よかった。俺も話したいって思ってました」




これはお世辞?

……わからないよ。


あまりに笑顔が温かいから、都合よく受け取ってしまいそうになる。



嬉しくて、嬉しすぎて、ニヤけちゃうよ。



「あっちにある公園で話しましょ」

「は、はい!」



案内してくれたのは、西校の近くにある小さな公園。


遊具で子どもたちが遊んでる。