負け犬の傷に、キス



たぶん今のわたし、ひょっとこみたいな顔になってる。


笑われてもおかしくなかった。

なのにクラスメイトはいたたまれなさそうにわたしの横を早歩きで過ぎていった。



しばらくその小さな背中を眺めた。



あ、謝って……くれた、よね?

わたしの空耳じゃないよね。



わたしの気持ちをわかってくれたんだ。


そっか。よかった。……よかったぁ。



立ち向かったのは間違いじゃなかった。




うしろを向くのをやめて、わたしも前へ歩き出す。

風が涼しくて気持ちいい。




繁華街にはすぐに着いた。



希勇くんたちの行きつけのクレープ屋。

そこのメニューを見ながら希勇くんを待つ。



あ、2人以上でアイス付きのクレープを買うと、安くなるみたい。


いいな。希勇くんと食べたい。

分け合いっこしてもいいかも。




「夕日ちゃん!」




ふと希勇くんが駆け寄ってきた。

なぜか細い路地から。




「はあはあ……。お、お待たせ……っ」


「き、希勇くん? 大丈夫?」




全然待ってないし、待ち合わせ時間までまだ10分もあるよ。


って言うつもりだったけど、希勇くんの呼吸が乱れすぎてて心配になった。