負け犬の傷に、キス




「ま、香りに関しては変態しか知らないけど」


「変態言うな!!」


「どうやってセキュリティーをかいくぐってきたのか不審に思ってないところとかすご~く怪し~」


「ユウヒさんの名前にも疑問を抱いていないようですし」


「いい人ぶってさっさと追い払いてぇだけだろ」




きつい香水のにおいに、柏の表情筋がどんどん歪んでいく。


ユキは背負っていたケースから竹刀を取り出した。




「全ての元凶なんだからもっと屈強な大男みてぇなのかと思ったら……へぇ? 案外不意打ちに弱ぇんだな?」


「……げ、元凶? さ、さっきから何を意味のわからないことを言ってるの?」




レンズの奥の瞳が泳いでる。

狼狽してるのが隠しきれてない。




「これ以上騒ぐようなら警察を呼びますからね」




ドアチェーンがゆるんでいく。


扉を閉めて終わらせる気か!

そうはさせない!



素早くすきまに片足を引っかけた。

扉に足がはさまって閉められない。



うっ、地味に痛い……!




「足をどけなさい!」


「嫌です! 夕日ちゃんを返してください!」


「か、返すも何も……」


「しらを切るなら俺だって!」




強行突破させてもらう!!