出来のよすぎた笑顔が、消えた。
博くんもユキも目ん玉をむき出しにしてる。
いきどおっているのか、悔やんでいるのか、わからないしかめ面。
その反応に俺たちも驚愕する。
「チッ。ぜってーあんとき取り逃がした2人だろ。言いふらしやがって……クソがっ」
「予想より早いですね。まだ元凶が見つかっていないのに……」
ボヤく彼らに、不謹慎だけどほっとした。
……あぁ、よかった。
なんだ。やっぱり違うじゃないか。
俺の勘は当たってた。
2人がこうなることを仕向けていたら、あんな本気で殺気立たない。
ふと薫と目が合った。
面食らって拍子抜けしてたな?
ニヤリとすれば、薫は肩をすくめた。
「どう片をつけるつもりだ」
真意を探る柏に、博くんはとっさに“素”を隠す。
またあの笑顔。
だけどいつもより不格好だ。
「どうするも何も、なんとかしますよ。心配なさらずとも双雷には手出しさせません」
「迷惑かけてすまんな。振り回すのは本当にこれで最後だから安心しろよ」
え?
なんで。
何を言ってるんだよ。
「2人だけでどうにかするつもりなの……?」
安心なんかできないよ。
心配させてよ。
人手不足って言ってたじゃんか。



