「……大事な話、ですか」


「薫さんにそこまで言われちゃあしょうがねぇな」




あっさり座ったユキに、しぶしぶ博くんもその隣のイスを引いた。


最後に俺が元々座ってたイスに腰かけると、博くんの薄い唇が開く。




「では、まず僕たちから。お兄さん、ご協力ありがとうございました。おかげで短期間で多くの薬物使用者を逮捕することができました」


「双雷には悪かったな。交換条件とはいえ、俺らの都合で総長さんを振り回しちまって」




この感謝と謝罪をもらったら交換条件は終わり。

俺たちと博くんたちの関係もなくなる。



それは、いいこと?




「ご丁寧にどーも」


「そっちは最後のつもりなんだろうが、こっちは今でも振り回されてんだよ」


「……どういうことですか?」




さすがに博くんもまだ知らなかったか。


望空ちゃんが偶然聞いた話だしな。

監視カメラで盗み聞きできる声量と範囲も限られてるだろう。



順序立てて説明しようとした俺を制すように、楕円形のリングのついたピアスが隣で波を打った。




「反撃の狼煙(ノロシ)が上がった、と言えばわかる?」


「!?」


「お前らの標的とやらが、お前らや希勇の存在に勘づいちまったんだよ。そんで仲間集めて、殺られる前に殺ろうとしてんだ」