小皿に少量とったスープを口にする。


一人きりのリビングダイニングに、うん、と満足げに独り言を漏らした。


なっとくのいく味になった。

カチリと火を止める。



すると玄関の扉が開く音がした。




「姉ちゃんただいま。今日何?」


「おかえり。ビーフシチューだよ」




宵は喜びながら、大きな買い物袋を重たそうにダイニングテーブルに置いた。


さすがに小学生にあの量はきついよね。

わたしが行けたらよかったんだけど……。




「お疲れさま。ありがとうね。土曜日だから混んでたでしょ」


「でもおばさんたち優しかったよ。セールしてたやつゆずってくれたんだ」




宵が買い出しに行ってくれた間に夕飯をひと通り作り終えられた。


ポテトサラダ、オニオンスープ、ビーフシチュー。


少し味付けをこだわってみた。

とびきりおいしいはず。



本当は出来立てを食べてほしいけれど、両親の帰りは午後10時過ぎ。


そのため夕飯をあらかじめ作っておき、両親が帰ってきたら温め直して皆で食べるのがわが家の日常。



初めは両親が帰ってくる時間帯に合わせて料理を作っていた。しかし両親の帰宅時間がバラバラだったり早くなったり遅くなったりとよく変動する。そこで前もって準備しておくことにしたんだ。