「つっかれたー」




幹部室に入るやいなや、柏が黒のソファーにもたれた。


シャンデリアを点ける。

月明かりだけだった室内が眩しくなった。




「作戦うまくいくといいね」




薫は、赤のソファーで足を組む。



ついさっきまで広間で練っていたわりには、シンプルな作戦ができあがった。


博くんとユキを遅い時間まで付き合わせてしまって申し訳ないな。




「……まさかポニーテールと竹刀の人が、同一人物だったとは思わなかったよ」




白のソファーにちょこんと座った俺は、先ほどのことを思い返しながら含み笑いする。



作戦を立ててる最中
地図を見ながら道を確認していたら



『ひーふーみー……少なくとも6パターンの行き方があるな』



ユキがそう数えていて面食らった。



俺の思い過ごしじゃなかった。


望空ちゃんが目撃したポニーテールの男も

やっぱりユキだったんだ。




「たしかに考えてみりゃ、この時代にポニーテールの男なんかそうそういねぇよな」




言いながら柏は大きなあくびをする。



望空ちゃんに怪しい人物を見つけたと知らせた。

津上さんの家を聞くついでに。


前に送り届けたのは病院まで、と返答がきてちょっと焦ったな。



『では調べましょうか』



博くんが何やら携帯を操作して数分後、住所が判明してもっと焦った。


何をどうすれば住所がわかっちゃうんだ……。

恐ろしくて聞くに聞けなかった。