俺が今すべきことは、津上さんのこと。
それ以外は今は放置!
どうせ考えたって混乱するだけだ。
頭脳系は薫に、体力系は柏に頼む!
「……じ、じゃあ、協力よろしくお願いします」
男の子と長髪男子にペコリと頭を下げる。
交換条件とやらはあとだ。
猫の手だって借りてやる。
「はい。せいいっぱいお力添えしますよ」
「ありがとう。えっと……」
はたと気がつく。
そういえば名前を聞いてない。
ずっと「きみ」や「男の子」「長髪男子」じゃ失礼だよな。
察した男の子がやわく目を細めた。
「名乗っていませんでしたね。失礼しました。僕は素野 博と申します」
「中学生……だよね?」
「はい。14になります」
男の子――博くんは、やはり中学生だった。
あの思慮深さ、言葉たくみな会話……
年下ながら優秀な策士のようで尊敬する。
「俺のことは、そうだな……ユキと呼んでくれ」
「ユキ……」
「本名はまだ言えねぇんだ。悪ぃな」
まだ、か。
いつか本名を教えてくれるのだろうか。
「年は……この中で一番上だな。あ、だからって堅苦しくすんなよ?」
「心配しなくてもあんたなんぞを敬わないから」
「ククッ、薫さんは当たりが強ぇな」
一番上ということは……
長髪男子――ユキは、高校3年?
そのグレーのズボンは西校の制服っぽいし、やっぱり同じ学校だろうな。
前に学校を探して見つからなかった。
見過ごしていたのかも。
俺も自己紹介をしようとしたら「わかっているので大丈夫です」と止められた。
あ、そうですか。そうですよね。
逆にどこまで情報を持ってるのか知りたい。



