「あの追手は院長の指示だったんですね。……それなら彼女さんのほうは大丈夫でしょうか」
「俺もそれが心配で……」
肩を落とす俺を男の子は元気づけてくれた。
俺は津上さんを助けられなかった。
守るって宣言したくせに。
ビンタされた痛みはとうに消えたけれど、胸の痛みはなかなか消えてはくれない。
俺が警備員に連れて行かれたあと、津上さんはどうなったんだろう。
またビンタされてないよな？
大丈夫でありますように……！
――プルルルル♪
唐突な機械音にビビった。
「お、俺のだ……」
こんなときに誰からだろう。
携帯の画面には知らない番号。
津上さんからかもって期待しちゃったよ……。
そんな都合よくないよな。
「も、もしもし……？」
恐る恐る電話に出てみれば
『もしもし！ 草壁くん？』
「 つ、津上さん！？」
都合のいいことが起こった。
早くも祈りが通じたのか！？
「津上さん、大丈夫！？」
『草壁くんこそ大丈夫なの？』
「俺は大丈夫。今双雷のたまり場にいるよ」
『そっか、よかったぁ……』
電話越しでも、津上さんの声音が震えているのがわかる。
