本来はふたりの関係は他言無用。


分家であろうと雅財閥に関わるため、家庭内事情について軽口をつつしまなければならない。



『キユーは友だちだから話しておきたかった』



そう言ってくれたのは嬉しかった。

だけどそんな大それた話だとは思わないじゃん!?



ふたりの好物が洋菓子と和菓子で分かれてるせいで、いつもおやつのセレクトが大変なんだよね~。


みたいな軽いテンションで聞いていたから
友だちの重要な内情だったと知って、当初は荷が重かった。



ふたりは俺以外には明かしていない。




――なのに、だ。




長テーブルをはさんで向かい合って座るあの2人、中学生の男の子と長髪男子は知っていた。


薫と柏の――雅財閥の秘密を。



簡単に入手できるはずがない。

それは2人がただ者ではない証拠。



ほんとに何者なんだよ……!!





「さてと、まずはキユー?」


「は、はい?」


「これまでの経緯を話してもらおうか」




隣の薫、さらにその隣の柏まで俺を見てくる。


何をしでかした
ってふたりの目が言ってる! やだ怖い!




「そういえばバラはどうしたの」


「は、話すと長いんだけど……」


「なら簡潔に言って」