負け犬の傷に、キス




――ブオオオン!!



またエンジン音がつんざいた。

今度は反対側からだ。


次こそ追手か!?




「大丈夫ですよ」




再び逃げる準備をしようとすれば、男の子に悠々と制止された。




「僕の仲間のようです」


「仲間? ……さっきの?」


「はい。役目を終えたら、ここで合流するよう伝えていたんです」




ここ――双雷のたまり場で、合流?

どうしてわざわざここに?



涼しい顔で取りつくろうつもりのない男の子の横に、黒のバイクが停まる。

わあ! かっこいいバイク!




「待たせたな」




バイクと同じ黒のヘルメットを外せば、中からも黒色がはらりと落ちる。


黒い髪。

うしろで高めのポニーテールにした


太い眉毛の、あの人は――。




「ああーーーっ!!!」




いきなりの絶叫に3人とも驚いて耳をふさいだ。




「うっさ。なに突然」


「か、かお……薫! こ、この人! この人だよ!」




迷惑そうにしないでよ薫!


この人なんだって!

急に竹刀を突き出した人だよ!!



紺のカーディガンもグレーのズボンもあのときと一緒。


今日は竹刀は……あ、背中に担いでるみたい。



この人がさっき演技をして……

ってことは、つまり……
中学生の男の子と、あのときの長髪男子が仲間!?




「へぇ……俺のこと覚えてたのか」


「忘れられるわけがないです……!」




太眉をピクリと上に動かすと、クツクツ喉を鳴らした。