そして、あっという間に時間は流れ、8月10日が来た。真夏のクラス会、と言うことで、涼し気なライトパープルのノースリーブにストールという格好にした。

スカイビルの地下1階に着いたのは、11時30分。早く来すぎちゃったかな。そんな風におもっていたら、

「紗良ちゃん?」

って声をかけられた。え・・・この顔は。

「美帆ちゃん?全然変わってないねぇ。」

「紗良ちゃんは、すこし、ふっくらしたね」

紗良は苦笑した。

「いいのよ、ストレートに『太ったね』って言ってくれて」

「紗良ちゃんは、『バンビちゃん』だったから、今くらいがちょうどいいよ」

「そうかな?ありがとう。万年ダイエッターなんだけどね」

「どうする?少し早いけど、もう行く?」

「そうしよっか」

エレベーターで40階へ。きっと、40階からの景色は圧巻だろう。

スカイレストラン 海空に着き、フロントで、個室 霧の間を案内してもらう。驚いたことに、懐かしい顔がいくつか揃っていた。

まん中で、受付をしているのが、今井くんだった。すぐ分かった。変わってない。意外なことに、黒髪のままだった。もしかしてピアスとかしてるかも?って想像していたが、それもない。なんだか、ホッとした。あのころのままの今井くんだ。そう思ったら、ふと、涙が浮かんできた。

「おっ、田中ちゃん!早いね。そのワンピ、可愛いよ」

条件反射で、顔がかぁ~っと赤くなる。

「あ、ありがと」

と言うのが、やっとだった。

「やっぱ、田中ちゃん、好きだ。可愛い」

「っっっ・・!!」

「って、あのころ言ってたとき、ホントはどう思ってたの?」

「それは・・・あの・・・」

「ん?ま、またあとで。とりあえず、会費、5000円ね」

やっぱり、今井くんは、何かやらかしてくれる気がする。気のせいだと、いいんだけど。