放課後は、ふと気が緩んで、いつもどおり千草が来るのを教室で待ってしまった。




習慣って怖い。

スクバを机の上においてずっと自分の席に座っていても今日からは絶対に千草は来てくれないのに。
そのことがうまく信じられなくて、ふとした時に忘れてしまう。
そのくらい、ずっと一緒に帰っていたから。




人は代わり映えのない日々や退屈な日常には飽きてしまうって言うけれど、千草が隣にいないなんてそんな非日常いらない。

代わり映えしなくても、そばにいて欲しいよ。



だけど、これからは、この日々を日常にしなくちゃいけないんだ。

想像すると、眩暈がした。







ひとりで家に帰る。


廊下や下駄箱で千草に会ったらどうしよう、なんて思ったけれど姿をみかけることもなくて、ほっとしつつがっかりしてしまったの。

一日の中で一度も千草に会わないなんて、違和感しかない。




帰り道も、やっぱりつまらなくて、とても寂しかった。