「・・・別に、プール嫌なの泳げないからじゃない」

「意地はらなくていいってば千草」





「ちがう」



不機嫌な声。


今日はじめての不機嫌千草に、わたしはもう昨日までとは違って焦りはしない。

だって、私のこと嫌なわけじゃないって知ったから。




ふいっとそらされた顔を見上げながら、なんで?って尋ねようとしたけど、それは千草の突然の行動によって阻まれた。




「え、」




するり、と許可もなく、千草の右手が私の左手を繋いで。指と指の隙間が埋められる。

手汗、かいてるけど、交じり合っていく手の体温に、私も戸惑いながら答えた。





今日は繋がないって思ったのに、繋ぐんだ。

そういうのが苦手そうなくせに、千草から。人もたくさんいるところで。



学校からまだあんまり離れてないところだったから他の生徒もけっこういて。
新しい彼女? って噂するヒソヒソ声が私の耳にぼやけて届く。



だけど、それよりも隣にいる千草で私は頭がいっぱいだ。