そしたら、「でも、」と低い声が鼓膜に届いて。
「青が何かしたいなら、・・・一緒にする」
「なんでも?」
「・・・なんでも」
甘くて、拗ねてるみたいで、本当はただの照れ隠しなんだって私にだけ分かる声。
思わず千草を見上げたら、伏し目がちな目につかまる。
照れてるくせに、逸らさないんだ。
そういうのずるいから、なんだか少し困らせたくなってしまう。
「・・・じゃあ、プールとか行きたい」
「・・・・・・いいよ」
ちょっと、間があった返事に、
私はからかうみたいに笑ってみせた。
プールとか海とか、千草はあんまり好きじゃないの、知ってて言ったんだよ。
魚マニアな千草だけど、泳ぐのだけは昔から大の苦手だから。
「嘘だよ、千草泳げないもんね!どうせなら千草も楽しめるところにしよう?」
「いいよ、って言った俺」
「そんなに思ってなさそうなのに? 本当は嫌って思ったくせにー」
ぎゅっと唇をむすんで、むすっとした表情を浮かべた千草。
おまえムカつく、って顔で訴えかけてる。
でも、泳げないのは事実なんだから。ふふ、って腕を千草にあてたら、、仕返しもしないで、ふいっと顔だけそらされた。



