校門をくぐりぬけて、学校からちょっと歩いたところで、私はようやく千草の隣に並んだ。



さっき本当は少しだけ意地を張っていたこともあって、なんだか気恥ずかしかったけれど、どうせ千草は何も言わないだろうし別にいい。




そう思ったのに。




「へー、結局、隣にくるんだ」




千草が小さな声で呟いたから、驚いた。


嫌味っぽくて、相変わらずどこか不機嫌で、それで細くて掠れた声。

全然話さないくせに、そういうことだけ言うなんてたちが悪い。


たぶんさっき私が聞こえないふりをしたことに本当は気づいてたんだと思う。今のはきっと、その仕返しだ。





「だ、だめなの?」

「別に」

「………、」

「だめじゃない」




つん、と澄ましたような横顔とは裏腹に、こつ、といたずらするみたく肘を腕にあてられて、うまく反応できなかった。