ねえ、理解不能【完】














「帰りに、日向先生にいちご飴のお礼にコーヒーあげにいくけど、青もくる?」




長かった授業が終わって、やっと放課後になる。帰り支度をすませた妃沙ちゃんが、茶色のレトロなリュックをかついで私の席に来たけれど、私は歯切れ悪く断る。

そうしたら、内緒話をするみたいに耳元で、「旭くん?」と言われたから、そっと頷いたら、妃沙ちゃんはもう朝みたいな怖い顔はしなかった。






「お互いがんばろうね」





そう笑った妃沙ちゃんはいつもよりなんだか子供っぽくて可愛かった。

お互い、ってどういうことだろう。少し引っかかったけれど、考えているうちに妃沙ちゃんを教室から出て行ってしまって。