ねえ、理解不能【完】






ホームルームがはじまる少し前にゆうが教室に入ってきて、それからは千草に関する話はやめる。


小声で話していたから、このまま話していてもゆうの耳に届くことはないだろうけど、万が一のことを考えて。

昨日の今日で千草の話をしているなんて、聞かれたくないし、ゆうも絶対に聞きたくないはずだ。



……薄情なやつだって、思われたくない。


結局はいいひとのふりをしたいだけなんだ。本当は、もう千草で頭がいっぱいな薄情で最低な人間なのに。




ホームルームで担任の中身のない話を聞いたら、一日が始まる。今日は晴れます、なんて天気予報士みたいなことを言っていた。



髪をいじりながら、窓の外をうかがう。




今日がはじまったばかりなのに、
はやく放課後になってほしい、と思った。