「み、見ないで」
「…なんで」
「集中、できないから!」
「はやく直して」
顔は絶対に赤くなっている。
隠すものは何もなくて、朝の太陽に照らされて千草にもきっとはっきりと赤く染まった顔が見られているだろう。
これ以上は、無理だ。
絶対に隠しておかないといけない気持ちが、指先とか染まった頰を通して伝わりそうで怖い。
「……なおった、」
「ほんとに?」
千草の髪から手を離して、こくりと頷く。
未だに千草の耳の後ろは、ぴょんと跳ねている寝癖がついたままだけど、嘘をついた。
「ありがと」
そんな素直にお礼を言われると、なんだか若干後ろめたい気持ちになってしまう。
「……青は、今日髪型なんか大人っぽい」
「……え、」
「前髪、いい」
つり目がちな瞳が気だるげな雰囲気をまとっていないとそわそわしてしまう。
機嫌がいいとはいえないむっとした表情のまま、そんな褒めるようなことを言う癖、本当に昔から変わってない。



