不自然になりたくないのに、明らかに今の私は不自然で、絶対に千草にも変だって思われてる。
……千草のことが好きなんだって。意識してしまっているんだって。ばれてしまったら、終わりなのに。
暴かれるのも時間の問題かもしれない。
急にこころの中に焦りがこみあげてきて、こっそりドギマギしていると、
「青、」
千草が、ふいに私を呼んだ。
寝起きみたいな声じゃない。クリアなその声に、思わず顔を上げる。
そうしたら、ぱち、と音がするみたいに、千草と瞳があわさる。
千草は、ふ、と鼻からぬけるみたいな笑いを微かにこぼして、私を見下ろす。
久しぶりに見た千草の邪気のない笑い顔に不覚にも見惚れてしまいながら、私は、言葉の続きをまつ。
「…な、に?」
「別に」
「………っ、」
「俺も、呼んでみただけ」
腕をゆるい力で小突かれる。それから、千草はふいっと顔を私から背けた。



