玄関で靴を履き替えて、それから靴箱の鏡の前で最後のチェック。



横流しにした髪の毛先を少しつまんでお姫様っぽく首をかしげてみる。

こんなところ千草にみられたら、シンデレラのお姉ちゃん?とか言われそう。
なんてね。やつはそんなにギャグ線高くないか。






突然クールに変更したわけだけど、本日の出来栄えは花丸かな。

自画自賛しながら玄関の扉に手をかければ、後ろからお母さんがパタパタとスリッパの音を響かせて近づいてきた。


その音が怒ってることを物語ってたから、何も言われないうちに扉を開けて、外に行く。


そうしたら、塀に持たれていた千草が顔をゆっくりとこちらに向けた。



「おはようー待った?」

「……待ってないと思ってんの?」

「えー、怒ってる。ごめんね、許して?」



鋭い千草の目つきに、一応反省の態度は見せる。
それから、千草の腕に自分のを絡めてみた。


だけど、すごく嫌そうな顔でため息をついたかと思ったら、腕は一瞬でほどかれて。

行き場のなくなった私の腕は不自然に宙に浮く。