呆然と立ち尽くしたままでいると、ようやくキスに満足したのか、二人がゆっくりと離れていく。
そして、私は千草の瞳からやっと解放された。だけど、心は捕まったままだ。
離してほしい。突き放されたのに、どうして。
「もう、無理だ、」
離れた二人の距離に、ようやく身体に力が入る。
混乱して、もう何もかも気にしている余裕なんてなく、自分の家まで駆けだした。
千草と広野みゆちゃんの方は、一切見ないようにして走る。
可愛い広野みゆちゃんとは大違いの、女の子っぽくない格好で。住宅街で全速力。消えてしまいたい、でも、もう、なんでもいい。
広野みゆちゃんも、きっと私に気づいただろう。
だけど、そんなことを気にしてる場合ではなかった。



