頬を包んでいた右手が広野みゆちゃんの後頭部にまわって、左手はワンピースの裾をぎゅっとつまんだ。






人ってこういうふうにキスをするんだ。




千草は、

好きな女の子に、

こんなふうに触れるんだ。





広野みゆちゃんがどんな顔をしているのかは全く見えないけれど、きっと幸せなんだろう。




他人事みたいにそう思う。

でも、これが、他人事なんて、嫌だ。





千草は、私から目を離さない。


私の瞳を捉えたまま、離してくれない。




.......広野みゆちゃんと、キスしているくせに。