『教わるような恋なんて、たかが知れてるよ』
妃沙ちゃんに言われた言葉がこだまする。
どうしよう。赤色にしようとしていた糸が消えていく。何かが、解けてしまいそうな気持ちに襲われる。
何かって、何?
分からない。
だけど、黒い感情は誤魔化せない。
広野みゆちゃんが千草の部屋に入った。
そんなの彼女だったら当たり前で、私が何か言う資格なんて何にもない。気にする資格も、それに悲しむ資格も。
だけど、あの空間は、私の特別だったの。
家の前にいるなら部屋で話せばいいのに、なんて思っていた時もあったけれど、いざそうなるとは思ってなかった。



