千草の家の前。


首元があいたピンク色のシフォンワンピースに身を包んだ広野みゆちゃんと、スウェットをきたゆるい格好の千草がいる。


タイミングが悪すぎだ。




雰囲気から察して、ちょうど広野みゆちゃんが帰るところに遭遇してしまったようだ。



私に背中を向けている広野みゆちゃんと、その向こうに向かい合うように立っている千草。


このままいれば、千草には確実に見つかるし、家に帰ろうとしたら広野みゆちゃんにも見つかってしまう。




......声をかけられるのだけは、嫌だよ。



二人の前にどんな風にたてばいいのか分からないし、うまくできる自信がない。

ダブルデートの日の最悪な記憶がよみがえる。あんな気持ちにはもうなりたくない。



「(どうしよう......)」



帰るにも帰れず、動くことができない。