それから、やっと、ゆうと二人っきりになる。
「どこいこう?」
ゆうが、さりげなくら私の指に自分の指を絡ませながら、聞いてくる。
ーー“ださい”
千草の声がミネストローネと一緒に飲み干したはずなのに脳内でリピートとされる。
かき消すように、ぎゅっと握り返した。
「うーん、実は人酔いしちゃってて。ゆうがいいなら、もうデパートでたいかも」
人酔いのせいだけではないけれど、気分も悪い。これ以上、デパートにいたくなかった。
さっきの広野みゆちゃんを思い出して、頑張って上目遣いでお願いしてみる。私だってずっとださいわけじゃない。
ゆうは、私から少しだけ目線をそらして、自分の前髪を触る。それから、頷いた。
「わかった。じゃあ、青の家の近くのカフェでも行こっか」
.....,上目遣いは成功したみたいだ。
私は大きく頷いて、出口に向かう。



