「慣れてなさすぎて、白けるだろふつーに」
「......ちぃくんなんか怒ってるの」
「なんも怒ってない」
千草の表情は不機嫌とは違ったけれど、決して機嫌がいいとはいえず。目を伏せて、ミネストローネを飲むのを再開した千草に、私はぎゅうっとさっきよりも強く唇をかむ。
ださい、って何。私のどこがださかった?
今まで何も言わなかったくせに、ずっと何も言ってくれなかったくせに、なんで、そういうことだけ、はっきり言うの。
なんか、もう、だめだ。泣きそうだ。
私は隣のゆうを見る。だけど、ゆうの目は真っ直ぐに千草に向かっていて目線があわなかった。
「旭、悪いけど、何も白けないから」
「.....あー、そう」
「俺の彼女だから、嫌なこと言わないで」
俺の彼女だから、って。ゆうの言葉に、千草は何も返さなかった。
だけど、千草の眉間に、一瞬だけ、ぎゅっと思いっきり皺がよって。それから、すぐにいつもの無愛想な表情に戻る。



