照れていたことで忘れていた千草の存在を思い出す。
最悪だ、
千草にも見られていたかもしれないんだ。
ゆうに食べさせてもらっていたところとか、それで照れてしまったところとか。髪を撫でられて、もっと恥ずかしくなってしまったのも、見てた?
......一番、見られたくない相手だった、かも。
それは、この三人の中でとかじゃなくて、この世界のひとたちの中で。
そっと千草のほうをうかがう。
千草は広野みゆちゃんの質問に、ミネストローネを飲むのを中断して、口を開き____
「別に。ださい」
冷たくて鋭い声だった。私の方なんて一切見ることはなかったけれど、傷つくには十分だ。
「もう。ちぃくん?ひとの彼女にださいとか言っちゃだめだよ」
広野みゆちゃんが唇を可愛く尖らせて、千草の腕を、優しくたたく。なんで、広野みゆちゃんも、そんなに嬉しそうなの。



