ねえ、理解不能【完】





「マルゲリータピザのハーフで」


広野みゆちゃんが初めに注文をいう。指でメニューを押さえて示す仕草が可愛い。店員のお兄さんも、なんだか嬉しそうに見えるんだけど、気のせい?

というか、私のイメージの広野みゆちゃんは、ココアで、とか言い出しそうだったから、しっかりピザを頼む子だったとは吃驚だ。



「ミネストローネで」


広野みゆちゃんの次に頼む。広野みゆちゃんは、ええースープじゃん、って笑いかけてきたけど、ツッコミの真意が本当に分からなかったから無視することにした。


メニューには他にもたくさんスープがあったけれど、ミネストローネは昔から大好きで、お家でもよく飲むの。人酔いのせいで気分が最悪でも、それなら美味しく飲めるかな、なんて思って。



「俺はカルボナーラひとつください」


ゆうが丁寧な口調で注文する。かしこまりました、お兄さんの声。



あとは、千草だ。


ゆうが注文してすぐに続くかと思った声はしばらく聞こえずに、なに?と不審に思いながら、ちらりと千草の方に視線を向けると。


眉間にほんの少し皺をよせた表情で、メニューを見ている千草がいて。

いや、決めてないんかい。って誰かツッコミをいれるべきところだ。