ねえ、理解不能【完】






「じゃあ、さっき見かけたんだけど、イタリアン料理の店いかない?人も少なかった気がするし」



ゆうが、爽やかに笑って提案する。

広野みゆちゃんが千草に真っ直ぐに向けていた視線をゆうに向ける。


甘ったるかった瞳が、一瞬で通常モードに切り替わった。

どうやってやるのか知らないけれど、切り替えの早さに驚く。本当に天使、なんだよね?



「わあ、いいね。そこにしよう、青ちゃんもそれでいい?」

「うん、いいよ」


正直、人酔いして、お腹は空いてないけれど。人が少ないところにいけるなら、ありがたい。

広野みゆちゃんはぐったりしている千草のパーカーの裾を引っ張って、いこう?って可愛く言う。可愛い誘い方、ぐったりしてる人相手にするのはどうなのかな。



「ゆう、いこう?」


真似してみたら、かなり寒くて、後悔した。