ねえ、理解不能【完】





「青ちゃん、行きたいお店とかある?」


ふんわり笑うお姫様。さっさと城に帰れ、って言ったら、どうなるかな。言えないけど。



「ペットショップ行きたいかも」

「えぇ、何か飼うの?」

「ううん、動物みたいなあって」

「そっかぁ、いいね、みゆも行きたい」



今、私、じゃなくて、みゆって言った。自然に自分の名前で呼んじゃうんだ。そういうのも可愛いポイント?そのポイントの稼ぎ方、私は幼稚園で卒業したよ。


広野みゆちゃんが、千草と手を繋ぎながらニコリと笑う。笑い返したいのに、どうしても繋がった手が気になって、はは、って乾いた声しかでなかった。


先にペットショップの方へ向かおうとしているふたりをぼんやりとながめる。


「青、行かないの?」

「....あ、行こう」



ゆうは、なんだか寂しそうに微笑んで、歩き出した。

頰にあたる冷房がつめたくて、ほんの少し不愉快だ。