千草は左手の違和感に気づいて、こっちを向いた。それから、それを丁寧に広げる。

その顔は嬉しくてニヤニヤしているかも、なんて少しだけ期待して千草を見たけれど、さっきと変わらず無表情のままで。


どんなことが書かれてるのかちょっとだけ、ううん、かなり気になって、千草の後ろからのぞく。


千草の肩に顎をのせたら、丁度いい角度になった。肩の筋肉がごつごつしていて痛いけれど、我慢する。



千草は、鬱陶しそうに顔を遠ざけながら私を睨む。

重いんだけど、と低い声で呟いたけれど、私がにっこり笑顔で無視したら、諦めたのかなんなのかもう何も言わなかった。





二人で広野みゆちゃんからの愛の結晶、もとい紙切れを見る。


愛の結晶、なんて言葉にしたら千草は確実に引いた目で見てくるだろうから、あくまで自分の中だけで留めておく。

可愛い妖精のイラストが隅の方に小さく描かれていて、薄い花の模様の上に可愛い文字が並んでいる。



.......私、紙切れって失礼だった。



広野みゆちゃんが千草宛てに渡したものは、とてもかわいくてオシャレなミニ便箋。


字も可愛いくて、いかにも女の子って感じのお手紙だ。