昼休み

「あの〜、佐藤 くるんさん居ませんか?」

「くるんです。」

その子は、可愛しげで、スケッチブックみたいのを持っていた。

「ここだとちょっと、恥ずかしいので、中庭のベンチで話しませんか?」

「分かりました。」

恥ずかしいって事は、くるんどこか変かなぁ。

なんか、心配になって来た。

「あの、あなたのお名前を教えてくれませんか?」

「あ、ごめんなさい。1年D組の白石 幸呼愛(しらいし ここあ)です。」

「えっとー、1年A組の佐藤 くるんです。何で、名前を。」

「有名なので。あの、お話というのは、あの、私の考えていることを題材に小説
を書いてくれませんか?」

「!?工エエェ(゚〇゚ ;)ェエエ工!?」

「やっぱり、嫌ですよねぇ。」

「いや、そうじゃないんです。」

どこから、情報が漏れた?

「何で、なのかなぁと思いまして。」

「あ、えっと。お恥ずかしいお話なんですけど、私、くるんさんの小説のファン
なんです。」

え?どういう事だ。



「詳しく話すとですねぇ。
私、小6の時、友達とケンカが長引いちゃって、人生嫌になって、
その時に、親がスマホを買ってくれたんです。
それで、たまたま、野いちごというアプリを入れたんです。
目についたのが、くるんさんの作品で。それで、LINEでメッセージを送ろうと
思ったんですけど、勇気出なくて。
くるんさんが、学校に来て生活をしている所を観察していて、もしかして。
っと、思ったんです。」

読んでくれていた子がいたんだぁ。

「あ、恥ずかしい。間違いでしたか。」

「きっと、間違いじゃないと思います。あの、これですか?」

カメラの方に、野いちごで書いているアイコンを送っていた。

「これです。」

「嬉しいです♪」

「私、攻めるつもりは...」

涙が出ていた事に、言われてきづいた。

嬉しいという言葉、聞こえなかったのだろう。

「くるん、嬉しかったんです。」

「え?」

「小学生の頃から想像することが好きで、物語も趣味で書いていたりしていたけ
れど、親友が、読んでくれても、面白いって。いつも、言ってくれて。
でも、逆に不安になっちゃって。お世辞で言ってるのかなぁって。
それから、くるんは、野いちごと出会って、そっちで書き始めました。
でも、上手く出来ているかわかんないし、どっちみち、不安で。」

「そうだったんですね。私、作品を読んで思ったんです。
図々しいとは、思ったけれど、私の想像したキャラクターで書いて欲しいな
ぁ。っと。」

「あの、一緒に写真撮って貰えませんか?
記念として。」

そして、2人でsnowで撮った。

「幸呼愛ちゃんの提案引き受けるよ。
ファンになってくれて嬉しいもん。」

「ありがとうございます。」

「あの、このイラストを書いたひとを主人公にして貰ってもいいですか?」

「あのさぁ、性格とかも教えて欲しいなぁ。」

「嬉しいです♪夢みたい。」

「くるんも。」

「イラストの横に性格や特徴を書いてみました。」

「これ、写真撮ってもいいかなぁ?」

「もちろんです。」

「ありがとう。」

「くるんさんは、何部なんですか?」

「文芸部に入ったよ。幸呼愛ちゃん、さん付けじゃ無くていいよ。自由な呼び方
しなくていいからね。」

「そんな。くるり様。」

「様とか照れるし、ちゃん付けか、普通にくるんでいいよ。」

「くるんちゃん、私も文芸部で。イラストを描いています。」

「よろしくね。」

「よろしくお願いします。」

「キーンコーンカーンコーン。」

「あぁ、そろそろ行かないとねぇ。」

何だか、友達が出来たような感じがする。