うるせえ、玉の輿。


「そ、そうね。あの、毛ってどこまで剃っておこうかしら」
「なんで毛の心配してんだよ。頭まで剃れ」

そわそわ落ち着かない業平は、窓のカーテンにくるくる巻き付いて、顔だけ出してミイラみたいになっている。

「そ、そうよね。今日は食事だけよね。ランチはなんとか会社の力で一緒に取ったことあるけどディナーは初めてよね。やばいわ。ステーキとお寿司とピザと」

「ご飯はできてる。問題はここからよ。業平、既成事実つくっちゃいなさいよ」
「き、既成事実って、あなた、すぐ身体のことばっかり。ひ、卑猥だわ」
「男同士なんだから、既成事実作らないと、おじさんもおばさんも納得しないでしょ。ほら、ほらほらほら、ここに業平のワイングラスがあります。そして数年前に貰った私の睡眠薬を用意してます」
「なんで用意してるのよ!」

睡眠薬を包丁で削って粉にすると、グラスの中に入れた。

「これで真っ赤なワインでも注いだら――ジョージさんは気づかない」
「こわっ貴方、この睡眠薬、私に盛ろうと準備してたのね」
 準備してはいたけど、エッチの仕方をよくわかっていない私が、寝ている業平を襲ったところで何も生まれないのだ。何も、だ。
一人で、裸であたふたするだろう自分が惨めで実行しなかった。
「別にエッチしたくないならしなくてもいい。酔って眠って、朝起きて隣に業平が寝ていたら、ジョージさんがどんな反応するか知りたくない? 嫌そうな顔をしたらチャンスは全くないのだよ、ワトソン君」