「やった!」

一枚ずつラップに包んで冷凍すれば、朝の簡単な朝ご飯にもなるし夜にもまた食べればいい。
あー……でも業平に半日経った油も回ってるピザを食べさせるわけにはいかないな。
業平には野菜炒めとか違うおかず作ろう。

「そういえば、転居届出すとか言ってたのは大丈夫?」
「あ、はい。しばらくは許婚の家から通うけど、結婚は保留なんで」
「なんで」

社長が驚くけど、私だって困っている。

「私に魅力がないのと、向こうに好きな人がいるのと」

業平はお姫様であって王子様でもあるので、恋愛にこだわっているからだ。

社長はまだ首をかしげていたけど、会議室に入るとチーズの匂いが広がっていて私の頭からは飛んで行った。
軍手を脱いで手を洗うと、紙コップにお茶を注ぎ、適当にテーブルの上に置く。

続々と入ってきた社員たちとともに席について、まだ温かいピザを口の中に頬張った。

美味しい。チーズって地味に高いから家ではなかなか食べないんだよね。

「麻琴ちゃん、うちの家の大根持って帰って」
「うちもー。人参とジャガイモ持ってきたわよ」
「うちは白菜の浅漬け」

「やった。全部いただきます!」

カレーだ。いや、シチューかな。大根のシチューなら三日ぐらい食べても飽きないし。

ご機嫌でピザを食べていたら、来客を告げるインタフォーンが鳴った。

会社の駐車場の方を見ると、停まっていたのはフラミンゴのマークのトラック。