シークレットシープ




いつも朝礼の話なんて、ボーッとしてるか寝てるか遅刻してるかで聞いてないのに。


そんな意味を込めて、からかうように言うと。


彼は隣に座る私の肩に頭をあずけてきて、言った。



「……梨良のことだから」



……君がそんなことを言うから。
だから、だから私は、


君を誰にも渡したくなくなる。


私のものでもないのに。
そもそも彼はものではないのに。



しばらくして、右肩の上から聞こえてきた規則正しい寝息。

 


彼は私のものではないけど。


今この瞬間は。
彼と過ごしている今の時間は。



私だけのものだ。


これから先、彼が大切な人を見つけたとしても。
この時間はその子にはあげない。



「……好きだよ」



彼が眠っているのをいいことに、小さくつぶやいた。




私と彼は付き合っていない。

仲がいいとか、対等に渡り合えてるのは私だけとか、色んな人が言ってくれるけど。


圧倒的私の片想い。