机の上に並べられたペットボトルと、よりどり3袋599円で売っていたお菓子のファミリーパック。

 私たちの手には紙コップ。そしてそこに注がれたウーロン茶やオレンジジュース。

 継野先輩がコホンと1つ咳払いをする。


「えー、こうして1年生2人、2年生2人が入部してくれたことにより! アナログゲーム同好会は見事、部活として認められました。これにより部費と顧問の……」

「ツグさん硬いよ~」

「……あー、じゃあまあこのくらいにして。きょ・う・は・宴じゃあ~~飲め~~! カンパーーーイ!!!」

「「かんぱーい」」


 7人ではちょっと狭い部室の中、中央の机を囲んで座る。狭いなあと頬を緩ませる継野先輩に「人数もだけど、まず物が多いからね」と銀河先輩が冷静なツッコミを入れた。

 今日は部として認められたお祝いと、新入部員の歓迎会。その中には私もいるわけで。


「佐古くんは銀河さんの知り合いなんだって?」

「はい」


 継野先輩が私の隣に座っている三栖斗に話しかける。

 ……そう、こいつもちゃっかり入部してたんだ。


「これからは銀河先輩って呼んでね。“先輩”」


 いたずらっぽくニヤニヤして銀河先輩が笑う。


「……まあ少しの間だろうし……いいでしょう。よろしくお願いします、銀河先輩」

「あ、ごめんやっぱ気持ち悪いからやめて。敬語もやめて。鳥肌立ったわ」

「いえ、先輩は先輩ですから」

「ぎゃああ! やめろって言ってんのにいい!!」


 継野先輩たちが爆笑した。

 3年に部長の継野先輩と、副部長の銀河先輩。

 2年は、羽野川(はのがわ)くんっていう元々メンバーだった男子と、私と三栖斗。

 1年は小城(こじろ)さんっていう小柄で可愛い女子と、弘則。

 小城さんは部活見学の時に一緒に来てて、オカルト話に食いついていた子だ。


「あ、でもそれだったら俺も橘先輩って呼んだ方がいいよね」


 弘則が私の方を見た。


「ええ……? 慣れないなあ」

「まあいいんじゃない? ウチはゆるいし、本人たちの呼びたいように呼べば。ねえ、ツグさん」


 そう言ったのは羽野川くん。継野先輩は「そうだね」と頷く。

 顧問の先生は50代の家庭科の先生で、基本的に調理部の顧問をしていてここは兼任。

 調理部の方は火も使うししっかり見ていたいという事で、あまりこっちには顔を出せないかも……という話だったみたい。継野先輩はそっちの方が気楽でいい、と言っていた。


「文化祭で、短時間でできるゲームの体験会をやれたらいいよね。普段やらない人には馴染みがないものが多いだろうけど、実際やったら結構楽しんでもらえると思うんだ」

「じゃあ3年生はそれが終わったら引退かなぁ」


 3年生2人が引退までにやりたいことの予定を立てていく。それに時々乗っかりながら、なんでもないような雑談をして過ごした。