「みんな、こんばんは。」
まなみが、笑顔でスマホに向かって言った。

━━まなみとなつきは、配信アプリを利用している。
配信アプリとは、誰でも配信者になる事が出来て、同じアプリを利用している日本中だけでなく、世界中の人と交流が出来るアプリである。
二人共、人気の配信者でもある。

『まなみちゃん、綺麗。』
『まなみん、可愛い。』
などと、視聴者からコメントが入って来る。

「ありがとう、嬉しい。」
まなみは、笑顔で答えていた。

『まなみちゃん、引越ししたの?』
とコメントが入った。

「うん。よく分かったね。」
まなみが答えた。

『壁の感じが違うから。』
と、返事が来た。

「あ、そっか、なるほどねぇ。」
と、まなみは微笑した。


━━突然!!

『!?』
驚いたようなコメントが入る。

『まなみん、そこ、大丈夫?』
と、心配するようなコメントも入った。

「え?」
まなみは意味が分からない様子。

『なんか、後ろにいた気がする…。』
と、コメントが入った。

『一瞬だけど、幽霊みたいなのが見えた気が…。』
というコメントも入った。

「え?」
まなみは直ぐに気付いた。

そして、後ろを振り返った。

「!?」
まなみは目を丸くした。

悌二郎達が、まなみのスマホを覗き込んでいたのだ。

「あ、ごめんね、みんな…。」
まなみはスマホに向かうと、
「急用が出来たから、今夜は配信終わるね。」
と頭を下げた。

そして、慌てて配信アプリを終了した。


「ただいま。」
撮影の仕事を終えた、なつきが帰宅した。

「?」
なつきは目を丸くした。

━━まなみが、悌二郎達幽霊全員を正座させて、説教をしていたのだ。

「ど、どうしたの?」
と、なつきが訊いた。

「なつきぃ…。」
まなみはなつきを見て、
「この子達が、配信アプリに映っちゃったの…。」
と言った。

「え!?」
と、なつきは目を丸くした。

「勝手に映りこんじゃ駄目でしょ!」
と、まなみは幽霊を叱った。

「佐川様が、何をしていらっしゃるのかと…。」
と、悌二郎が言った。

「だからって、勝手に覗き込んじゃ駄目!」
と、まなみは言った。

「で、では、次回からは映りこんで良いか、ご許可を頂いてから…。」
と、虎之助が言い終わらないうちに、

「許可する訳ないでしょ!」
と、まなみが遮るように突っ込んだ。

そのやり取りを見ていたなつきは、吹き出してしまった。

「ん?」
まなみは、なつきを見た。

「映り込んでいいか、許可を取る幽霊って!」
と、なつきは笑い出した。

「ん?」
まなみも少し考えてから、
「確かに!」
と、爆笑した。

「?」
悌二郎達は、意味が分からない様子だった。

「二度と映りこんじゃ駄目、分かった?」
と、まなみは言った。

「承知致した。」
と、悌二郎達は頭を下げた。


二人共、幽霊と共同生活をする事に違和感を感じなくなっていた…。