「過去に囚われすぎ。小早川さんってそんな人だったか?」


……。



「俺から見た小早川さんは、素直で一生懸命で…少なくとも八神を裏切るようなやつには見えない」

「……」



俺を見つけて、抱きしめる莉子の手が震えていた。



「莉子、俺がどっかに行くんじゃないかって…」

「何それ」

そう言いながら原田は笑った。


「俺らヤンキーの世界を知らない小早川さんは不安なんだろ。八神はいろんなレッテル貼られてるから、おまえと逸れていつか自分の前からいなくなると思ったんじゃねぇの?」




何だよ…それ。



莉子も不安なんだ。



それでも莉子は…

俺を見て笑ってくれた。




くそっ




俺は今まで莉子の何を見てきたんだよっ!




何で莉子を信じてやれなかったんだよ。