「なんかよー、あたしにはあんまその気持ちが分かんねぇな。」

「……」


「翔真を好きな女子みたいに好きな奴がいるからって理由で高校決めたり、部活決めたり、同じ場所にいることに一喜一憂したり、きっかけ欲しさに嘘ついたりとか。多分そこまでの気持ちになるほど、人を好きになったことないからだけど。」

「俺もその行動が凄い好きの証明になるかはよく分かんないな。」

「でもいつか恋愛したらそういう欲が出てくるのかなぁ…ん~無縁だな。」

「ん…?」
(あれ、遠回しに軽くフラれてる?)
翔真は首を傾げた。


「食って寝てバスケやってりゃあたしは毎日最高なんだけどな!あーバスケやりてぇ!うまくなりてぇ!!大成に勝ちてぇ!!」
うずうずしながら未茉は発散するように大きな声で空に叫ぶと

「あはははっ!!」
笑うのを我慢してたみたいに突然堰を切ったように翔真は笑い始めた。

「えっ、なんだよそこ笑うとこかっ!?今日突然が多くね?」
「うん。なんか考えすぎたなー。無駄に。」
「お前が考えすぎることなんてあるの?いつものんびり笑ってるイメージしかねぇぞ。」

「んー。じゃユアペースで行きますか。白石未茉さん。」
仕方ないと思いつつ、あえて恋宣告はしてみる。
「いつもじゃん!翔真がオラオラしてるとこなんてバスケでもあんまみたことない。」

(いや、結構見せてますよ・・・)
心の中でひそかに突っ込みながら貰ったガムを口にした。

「見てて見てて!翔真!」
風船ガムの大きさで勝負を挑んで来る未茉に、

「俺の勝ち。」
その一回り大きい風船ガムを見せびらかす。

「うわっでけぇ!!見てろよ!!」
肺一杯に空気を吸い込み負けず嫌いを発揮した。