「全国ベスト4相手にただの練習試合だと思わないで。この試合に勝ってインターハイ地区予選にいい形で挑みむわ。みんなそのつもりでね」

……ゴクッと息を飲み、部員は声を揃えて「はいっ!!」気合いの入った返事を体育館に響かせた。


話が終わった後、未茉はお礼が言いたくてキャプテンの元へ駆け寄った。
「あのっキャプテン!!さっきは…」と言いかける間もなく、

「白石。あんたが一番大変よ。いい?一年の基礎トレ付き合って指導した後、二三年のゲームに参加だからね。」

「おうっ!!」
冷たく言われたが昨日の観戦試合で距離が少し縮んだ気がして未茉は嬉しかった。
「おうっ・・じゃない!!敬語!!!」
「あ、はいっ!!!」
そんな調子のいい彼女にため息つくも、

「マネージャー、あんたは白石のフォローしてあげて。」
鈴木は笛を渡しながらキタローにサポートをお願いした。

「はい、喜んで。あと昨日入力したデータです。」
「ああ、ありがとう!!え、凄いじゃない。これ全部一人で?!」
「もちろん。大成の部員のデータも入力してあります。よければ参考にして下さい」
「頼りになる!ありがとう!!」

「凄いね北君…見かけによらずめちゃくちゃデキるマネージャーだね…」
それを見ていた三年の新垣が完璧に分析されたAIを見ながら感心しながら言うと、
「スポーツドリンクもその子のスタミナに合わせた配分で作ってくれてるのよ。」
「え?!そんなことできんの!?」
「人は見た目で判断しちゃだめね・・。」

「完璧怖いと思ってたけどね・・・。」
背筋を伸ばし正座をしながらビブスを丁寧に畳んで用意するキタローを見て苦笑いを浮かべる二人であった。