「翔真、言い忘れちゃってたね。」
「……え?」

だが、急に何かを思い出したように未茉は歯を見せてニカッと子供みたいに笑うから翔真の決心を鈍らせてしまった。

ビリッビリッ!!と食べ終えたハンバーガーの包み紙と包装紙を急に音をたてて細かく手でちぎり始め、
「えっ…」
突然何してんのかと思って目を丸くした瞬間、


「明徳学園新エース、湊翔真君!
初試合初勝利おめでとー!!!」


ちぎられたバーガーのカラフルな紙達を翔真へとめがけてフラワーシャワーのように振りかけ、未茉は手のひらを真っ赤になるくらい拍手を送ってくれた。

「え…」
思いがけないインスタントサプライズに翔真は驚くも、
「おめでとっ!」
満面の笑みで称えてくれる彼女に驚きからゆっくりと笑みが溢れた。

多分、キスと同じくらい嬉しかったかもしれない、と思うと翔真は素直に笑って「ありがとうございます」とお辞儀した。

「はいっ!」
未茉は正座をしながらピッと手をあげる。
「はい、未茉さんどうぞ」

「続きましては、
明徳学園女子の新エース白石未茉が来週の練習試合に勝つことを誓います!!」

「応援してます。」
「はいっ、ありがとうございます!」
えへへへっと愛らしく無邪気な笑顔を見せると、
「ま、いっか。」
その笑顔に免じて欲望停止のため息つくと、

「よくねーよ!!紙拾うの手伝え!」
散らばしてしまった紙を未茉は一緒に拾うように要求してくる・・・。

「やっぱキスがよかったかもしんない・・・」

彼は欲望に従うべきであったと…やっぱり後悔したのであった。