“おい、翔真。お前なんで明徳にしたんだ?!”
受験前、俺は三人を呼び出した。

“すみません。”
翔真はただそれしか言わなかった。
何度聞いても、理由は話してくれなかった。
翔真にしては珍しく強く意思の固まった表情をしていたのには驚いた。
もう誰に何を言われてももうテコでも動かない。


“お前らは、どうする?大成に来るよな?”
結城と三上にもダメ元で尋ねた。
“すみませんマイクさん。俺は高校でも三人で一緒にバスケをしたいって決めています。”
“すみません…マイクさん!!ずっと可愛がってくださったのに…本当にすみません…”

三人の絶対的関係は壊れることはなく、三人は明徳への入学を決めていた。

その瞬間、俺はがっくりと肩を落とした。
三人が大成に来たら、間違いなく全国で優勝争いに加われると確信してたからだ。

それも翔真も絶対に分かっていたはずのに、なぜ。
明徳を選んだのか。
欲がないとか、そんな理由ではない。
なんでだ?

頑なまでに翔真が明徳を選んだのはなんだったのか。)


「よぉーーしっ!!!翔真ぁあと20点だぁあっ!!」
背後から未茉がガッツポーズをして飛び上がって応援する大声が悪寒と共にマイクの耳に届くと、

(まぁ・・・まさか女で選ぶとかいう理由ではない・・・だろう。)
と、信じたいが、
(いやいや・・・え、まさかな。あるわけない。あるわけない。だとしたらマジで許さない・・)
と、悶々とするのであった・・・。