「あ、翔真」

「むぅ。」
一瞬にしては翔真が恋敵であることを察知能力の高い禅は読み取り、
「先輩、誰ですか」
「ああ、コイツは翔真!明徳のバスケ部で仲いいんだ。」
「宜しく。」
にっこりと無駄に優しく微笑むも目はちっとも笑ってない翔真。

「東城君は、何点取ったの?」
「35点…」
「ふーん、じゃこの試合50点取ってご褒美のキスは俺が貰う!」

「はぁ?!」
突拍子もない翔真の宣言に未茉は声をあげる。

「ざけんな…そんなんだったら俺はもっと取ってた!!!」
すぐにカッとなる禅が翔真に詰め寄ると、
「はいはい。禅、時間あんならあたしと一緒に試合見よーぜ。」
扱い方を分かってるのか、そう言ってコートから連れ出そうとすると、

「ふぅん…」

拗ねた子供みたいな顔を翔真は時折見せる。
元々いつもおっとりしてどこか気品高く、感情を露にしない彼がその大きな図体とは裏腹に子供みたいに不貞腐れられるとギャップを感じる。

「どうした緊張か?勝てるか不安とか?」
「まさか。勝つよ。」
だがそれはすぐに余裕の眼差しに変わった。


「だって俺が初めて未茉ちゃんに応援してもらう試合だから。」


「おー!期待してるから!!」

また子供みたいに無邪気に嬉しそうに答えるように微笑む翔真は、

「さぁ、やるか50点。」

明徳の新エースが宣言した。

「おまっ・・まさかご褒美の為か?」
まさかと思い、結城が尋ねると、
「うん!」
満面の笑みで頷くのであった・・。