「今日はありがたいことにマイクが怪我でベンチだから余裕で勝てるぞ。」
さて!と野村監督が笑いながら明徳メンバーを煽るが、
「馬鹿言わないでくださいよ。俺がいなくても大成は負けないですよ。」
強気にそう微笑むのには、東京では言わずと知れたプレーヤーだった。
マイクジョーンズ・ヒロ
大成高校二年ながらにチームの絶対的柱。
二メートルの身長を武器に“白の巨人”と呼ばれ、東京ナンバーワンセンターの座に君臨している。
去年のインターハイ東京予選二位の立役者だ。中学時代はBIG3を牽引し共に全国ベスト5にまで登り詰めている程の実力者だ。
「そんなすげー奴なんだ。残念、怪我じゃなけりゃ、きっと翔真とのバチバチの試合が見れたのになぁ~」
チッと舌打ちながら未茉は体を伸ばすと、翔真はずっと気になっていたことを口にした。
「なんで未茉ちゃんジョギングウェアー着てるの?しかもショーパン……」
「ちょうど今日朝のランニング中に弟と王子中の後輩の禅にあってさ、1on1夢中になってしてたら、このあと大成と試合だなんて言うからすんごい気になっちゃって着いてきちゃった」
あははっと笑いながら言うと、
「「えっ?」」
マイクとキャプテン、監督までもが固まってこっちを見る。



