土曜の早朝、小鳥の囀ずりが響き渡る中を未茉はランニングウェアーを見に惑い気のままに走り込むのが日課だ。
「♪宿命ってやつはぁあっ♪~!!」
大好きな音楽を聞いてるうちに気持ちよく大声で歌ってどこまでも夢中で走っていると、
「ヒソヒソ…」
すれ違う人の痛そうな視線にも気づかず、隣町まで気づけば来てしまっていた。

「あり・・・。」

午後の部活の時間までに戻るにはそろそろ引き返さなきゃ…と辺りを見回し足を止めた時、

「姉ちゃんっ!!!何歌ってんだよ!!恥ずかしいなぁ・・・!!!」

運動広場の公園から未茉の一つ下の弟・和希(かずき)が姉のヤバさに恥ずかしそうに駆け出してきた。

「あっれっー!和希!!と、禅(ぜん)じゃん!久々ッ!!」

「あ、未茉先輩!!」

未茉の顔を見て一見爽やかに手を振るのは、母校王子中の後輩で一つ下の現在男子バスケ部の絶対的エースの東城 禅だ。
関東の中学生の中で実質ナンバーワンプレーヤーと言っても過言ではないくらいの実力の持ち主だ。

そして未茉の弟の和希は、一応副キャプだ。
「俺の紹介短っ・・・」(心の声。)