「あーあ、かわいそうに佐々木。」
体育館に戻ってきた結城が壁に寄りかかり腕を組み哀れみの視線を送る。
「あれぇ結城帰ったんじゃなかったのかよ?」
そんな結城に気づいた未茉が尋ねると

「おー帰る予定だったのによー。」

(帰ってる途中、佐々木が今から自主練で残ってる白石にコクるなんて騒いでんのを翔真が聞いたら、迷いなく引き返しやがったぜ。)


「そっちからでいいぜ。」

勝つ自信があるのか、ポンッと佐々木に翔真はボールを投げた。

「頑張れー翔真、佐々木ー!!」
チラッと目をやると未茉が二人の対決を応援してるので佐々木ももう後には引けずため息ついて腹をくくった。

「な…何本勝負…?」

「何本でも?気が済むまで。」

お前がギブするまでやってるよーー翔真の目は微笑みながらもスイッチ入っていた。



「……5本勝負でいいよ」

翔真は頷き、構えた。


「あんな気合い入ってる翔真久々にみたぜ……こりゃ本気だな。多分速効で終わる。」

その表情見て佐々木に気の毒そうな視線を送る結城は悟った。

「ふぅん。なぁ、なんで翔真は佐々木に本気出すの?」
未茉が首を傾げると結城は(マジどついてやろうか……)とひきつっていた。