「白石も一緒なって騒いでましたよ。いくら実力があるとはいえ明徳のスタメン張ろうとしてる奴が男目当てで入部とかでいいんですかね。」
二年の部員が悪意の視線を向けながら鈴木に言った。
「ちげぇよ!!!あたしは男目当てなんかでこの明徳に来たわけじゃねぇ!!」
思わず持っていたバッシュを床に叩きつけて妙ないいががりを打ち消すように迷いなく大きな声で言った。
「な…なによ…わざわざ大成とか名門からの誘い断ったのは、男目当てだったんじゃないの?!」
二年は負けずに噛みついてくるが、未茉は負けなかった。
ざわっ…と隣コートの男バス達もその騒ぎに振り返っていた。
「おいおい、また白石かよ。大丈夫か…」
結城が心配そうに言うも、翔真は黙って視線を送っていた。
「男ぉ!?誰が男ごときであたしの人生決めるか!!!あたしがこの高校に来たのは、インターハイに出場するためだ!!!」
「……」
その言葉に静まり返る体育館。キャプテンは何も言わず未茉の顔をただ見つめていると、
「外周行ってくる!!」と苛立ちを抑えるように体育館を出ていった。
「白石は真面目にやってました。」
「ぅうわっつ!!!びっ…びくりしたぁぁあ!!キタロー君…」
突然鈴木の背後に現れたキタローに驚いてひっくり返りそうになる。
ジロ…と片目で睨まれると、またマネージャー業にひっそりと戻ってく。
「ちょっと沙穂(鈴木の名前)・・・。キタロー君怖いんだけど・・なんかヤバイ噂もあるし。」
「うん・・・。でも仕事はめちゃくちゃよくやってくれてるのよね・・。」
三人の副キャプの新垣がビビりながら鈴木に訴えるも、ピシッと綺麗に洗濯され並べられたタオルやユニフォーム、ドリンクの補充など文句のつけようもなかった。
「も・・もう少し様子見ましょう。」



