「タイトルとったことねぇーんだ。明徳って。」

「タイトルどころかっ!せいぜい東京ベスト16ですよっ!そんなとこに行くなんてバカげてる!!」


「おー。だったらあたしが連れてってやるよ。明徳を全国にな!」
ニッと面白そうに微笑みながら振り返る未茉の笑顔に、高校日本一の監督はもう異議を申し立てる力も無くし、白石家を後にし、

(全国のどの強豪校でも喉から手が出る程、欲しいだろう。そのくらい天才・白石未茉の存在は大きく左右されるがーー
明徳なんかに行くならもう彼女の未来は終わったな。)

大きく聳え立つ一軒屋を見つめながら、ため息ついた。

(どこのバスケの強豪校でも特待生として推薦で行けるのにそれをわざわざ・・・。
まさか清二さんがあんなに娘の将来に無欲だとは思わなかったな・・・。今も尚バスケ界の頂点に君臨し続ける人なのに。)

ため息をつき、家路へと消えた。