「白石?」

「置いてくぞ。」
急に着いてこなくなった未茉に四人は振り返るとその目は驚くように見開いていた。

「…」

‘いいじゃない。着ようよ。今年はどうせ未茉は浴衣着れないんだし。’

「……」

ふと莉穂の言葉がよみがえってきて涙が一滴頬を伝った。


‘だって未茉今年は全国に行くんでしょ?’


ヒュッーーパァンッ……


遠くの夜空に一筋の花火が上がると、ドンッと胸に響くような音と共に空に大きな花を咲かせ輝かせて、静かに消えた。


「「わぁぁぁあぁああーー!」」

足早に駅に向かう人達が空を指さして上がる歓声が、さっきまで立っていたコートでの自分に向けられた歓声と被って聞こえた。


「……うっ」

次々に打ち上がる花火と歓声に胸が張り裂けそうな痛みが襲い、唇を噛みしめて唸った。

「白石……」

ざわめきや歓声や花火音の中でかき消されるくらいの小さく泣き声をあげた。


「勝ちたかった…」


その言葉にーーーそっと自分の胸に未茉の泣き顔を隠すように埋めさせるように抱き寄せ、空を扇ぐようにきつく瞼を閉じる翔真の横顔に

結城も三上もキタローの目にもやりきれない涙が浮かんでいた。



明徳バスケ部の待ち焦がれた夏は来ないまま、夏を迎える。








TIPOFF!! #LOVE SPRING〈END〉

…Thanks!!NEXT→→#LOVE SUMMER